第二九部 「死の傾き」「着いたな。」「まあ着いたは着いたけどさ。」 「なんですかー!?聞こえませんー!!」 車は道路を行き交い、町から光りがせわしなく輝いている。 ここは、電気の首都、「アレキサンダー」。 クロス達は、シュレッドが空と水の両国を滅ぼすため、ミサイル発射装置を起動させてしまった。そのミサイル発射装置の情報が、ここへ来ているという。つまり、この町でシュレッドが動かしていた、研究所の情報を探し出し、ミサイル発射をキャンセルしなければならない、と言うわけだった。 「でも何処に行けばいいんだろう・・・。」 クロスが言うと、シールが 「ああ!?聞こえねーよ!」と言い返す。 大量の車の音と、人が行き交う話し声などで、たちまちクロス達の声はかき消されてしまうのだ。 クロノが、 「もう!静かなところに行きましょうー!!!」 と言って、100メートル先の公園に着いたときには既に出発から10分かかった。 「はぁ・・・はぁ・・・。」 みな、息切れしていた。 「ったく、なんでこんな事になっているんだ!?」 シールが怒鳴る。 「それは、君たちが不利になった、ってことだろう。」 全員後ろを見た。前にみた、小柄な男、そう、クロス達の旅をサテライトで楽しませている(誰を楽しませるのかは、クロス達にも見当がつかなかった。)、フォルムだった。 「フォルムさん!お久ぶ・・・。」 シールに、クロノの挨拶はさえぎられ、挨拶代わりにシールが言う。 「そんなことより、どういう事だ?不利になったとは。」 フォルムが相変わらず表情を変えない。 「言っても良いが、信じるのは君たちだ。分かっているな?私はただ、お客様を楽しませているようとしているだけ、どの方向にも私は助太刀はしない。」 「しかし、あんたはそのどちらかが、不利になると、天秤のように均等にする。」 「そうだ。勝敗が明らかな勝負など、見てもつまらない。」 クロスも言い返した。 「それで・・・、不利というのは・・・?」 「信じるのは君たち次第、という事を忘れるな。」 みな、うなずいた。 「そうか、ならば言わせてもらう。それでお客様が喜ぶならば。まず一つ。君たちはミサイルを止めることができない。それは、研究所など初めから存在しない、と言うことと、次に時の暴走が始まり、ミサイルは飛ばない。」 えっ!?っとみんな驚いた。しかし、フォルムは続ける。 「時の暴走が起こり、様々な事が過去に戻ったり、尚も等しく、様々なことが均等に未来へ進んだりもする。君たちが、時の暴走を解決できる頃には、既に君たちは黒い城の長を知っている。そして、君たちはその黒い城へ行く。黒い城の門前で、いろんな人たちが集結する。そこに集結するすべての人において、神である。」 頭が混乱してきた。一体、どういうことだ?と、全員が思ったに違いない。 「それだけだな。信じるかは君たち次第。」 フォルムが消えそうだったので、クロスが止めた。 「フォ・・・・。」 その時は既に、フォルムの姿はなかった。 名の接続書 クリックして次の物語へ・・・ |